「一流の顔」岡野宏

一流の顔

一流の顔

 昼休みに本屋さんで立ち読み。著者は元NHKの美粧師(メイク担当)で、これまでに約10万人にメイクを施したキャリアの持ち主。その中で出会った、数々の著名人のメイクに対する姿勢が語られていて、政治家、俳優、作家など、垣間見えるそれぞれの自意識が面白かった。
 そして、化粧(外見)が本人にも周囲にも及ぼす影響の深さ大きさを示すエピソードの数々。自分という人間を表現しようとする時に、外見をおろそかにしてはならぬと思った次第なのです。それは単純に”美しく整える”ことだけではなく”自分らしさ”をいかに目に見える形にして他人に伝えるか…。本のタイトルから、有名人の素顔を見たいという野次馬根性丸出しで手にとったにも関わらず、その内容は随分と深かったのでした。”コスメ”という化粧品を指す言葉の語源は、宇宙を意味する”コスモ”。その理由を、ロケ先で体験した祈祷で悟るエピソードなど、ううむ、深い。
 イメージを客観的に把握する人ならではと思われる、簡潔で的確な文章も素敵です。