「オペラ座の怪人」★★(5段階評価です)

公式サイト:http://www.opera-movie.jp/

1870年代パリ、オペラ座は”怪人”を名乗る姿の見えない謎の人物に悩まされていた。オペラ座のバレエダンサー、クリスティーヌは怪人の要求により主役を演じ喝采を浴びる。彼女には、オペラ座に入って以来、折に触れては的確な音楽的アドバイスを与えてくれる声だけの存在”音楽の天使”がいた。舞台が成功を収めた夜、彼女はその”音楽の天使”が怪人であることを知り、怪人に導かれて彼の住処であるオペラ座の地下へと足を踏み入れる。一方で、彼女の舞台を観た幼馴染・ラウルとの再会を果たし、二人は恋に落ちる。しかし、怪人のクリスティーヌに対する執着は徐々に常軌を逸したものになり…。

(…今回の感想はネタバレを含みます。これから観ようとされている方はご注意ください…)
既にストーリーも音楽もよく知られた本作品。感想は…。正直”フツウ”だったのです。何に不満であったのか。
1.ヒロイン。どうもインパクトが弱いのです。この手の白人にしては彫りの浅い、ややのっぺりとした顔立ちはアメリカ人好みなのでしょうか? 健康的で清潔感はあるけれども、明るすぎて深みという点ではちょっと物足りなかったのです。まるで”ディズニープリンセス”の世界…。
2.中盤がダレる。美しいメロディをたっぷりと聴かせたい…ということなのでしょうが、お馴染みの名曲のフレーズが、これでもか、これでもか! というくらいに繰り返し歌われ、お話が先に進まないのです…。最近、通勤路においても、より迅速に会社に至る導線を追求する現代トーキョー人・しょろんは眠くなってしまいました。
3.怪人の素顔を見せてしまう。以前にも、別の映画化作品を観たことがあったのですが、それは仮面の取れたシーンは全て見切れないように処理されておりました。やはり、あれほど丹念に”いかにおぞましいか”歌いこまれる怪人の素顔は見えない方イマジネーションが膨らんでが良いなぁ、と思ったことでした。
逆に良かったのは、
1.オープニング。物語の導入部分は、今は寂れたオペラ座で、過去の備品などを売りさばくオークション。そこに、オペラ座の怪人が事件を起こした際に使われた巨大シャンデリアが登場し、吊るし上げられる…と、その途端! シャンデリアが上がると同時に、オペラ座がみるみる全盛期の面影を取り戻していく…。というこのシーンは実に見事に美しかったのです。圧巻!
2.怪人の顔が一部美男子であったこと。仮面で隠れた部分以外は、今回ハンサムであったのです。その分だけ、ヒロインへの執着やおどろおどろしい部分が緩和されつつも、反面で隠された部分とのギャップがあって良かったかな、と思ったことです。なにせ怪人、時代を現代に置き換えれば筋金入りのストーカー。ヒロインそっくりの木像造ってるわ、関係ない人でも殺しちゃうわの言語道断っぷり(…とりわけ、フィギュア作っているのは言い訳できぬと思うわ…)。しかも今回の作品だと、一方で怪人が”どれだけ才能に恵まれているか”をほとんど描かないのです。それだけに、せめて顔の半分くらいは美点があって良かったわね、と言いたかったのでした。

オペラ座の怪人について予備知識のない、あるいは恋愛についても諸々の理想妄想に満ちた中学生時代のしょろんならば、感銘を受けたのかも。脳内でリフレインし続けるテーマ曲(シンプルな分耳に残る!)に酔っ払いながら、ちょっぴり”今日も小雪の降りかかる”(C:中原中也)気分の帰り道でありました。