「トーク・トゥ・ハー」★★★(5段階評価です)

トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション [DVD]

トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション [DVD]

 自宅前のバレエ教室に通う女性に、ストーカー的な思いを寄せていたベニグノ。女性が事故で脳死状態になった後、彼は看護師としてかいがいしくその世話をする。女性闘牛士と恋が始まりかけた矢先、闘牛で負傷した彼女が脳死状態になり、戸惑うライター・マルコ。同じ病院内で、二人の男の間には友情が生まれるが、ベニグノの愛情はある日一線を超え、悲劇が訪れる…。

 ペドロ・アルモドバル監督作品は、先日観た「バッド・エデュケーション」が素敵だたっためこちらも観ることに。設定が刺激的なので敬遠していたのですが、「バッド…」と同じテイストなら是非観たいと思ったのでした。
 今回も、どこか歪んだ愛情を持ちながら、一方で純粋で真っ直ぐな登場人物が描かれます。ベニグノ! 問題は多々ありますが、彼の愛情の哲学は、ある意味で真実であり美しいなぁと感じさせられるのです。恋人の脳死状態に絶望し、話し掛けることも触れることもできないマルコに対し、ベニグノがいう言葉。「大切なものだって伝えることが、癒しだってわかったんだ」云々…。相手に意識がないからといって、目の前にある生きた肉体を全否定することは、それも一方的な愛情とは言えないだろうか? と、問いかけを投げ掛けられる瞬間です。しかし、そのベニグノの愛し方もあまりに問題があり、遂には…という展開なのですが。
 アルモドバル監督の作品は、愛情について様々な問いを投げ掛けるものが多い模様。でもやっぱり切ない。一方通行で、先がないのですもの…。