「十二人の怒れる男」★★★★(5段階評価です)

syoron2003-09-07

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 1951年アメリカ映画。父親を殺した容疑で17歳の少年が裁判にかけられた。あとは12人の陪審員が全員一致で有罪と結論すれば死刑が確定する。夏の暑い日、会議室に集められた男たち。結論はすぐにでも有罪で確定かと思われたが、ひとりが希薄な証拠に疑問を持ち再検討を提案する。議論を重ねるうち、ひとり、またひとりと少年の無罪を信じる人が増えていく……。

 法廷物の傑作と名高いこの作品。ラストシーンを除き全てが会議室での議論を淡々と追ったというシンプルなつくりながら、12人の登場人物それぞれのキャラクターや練りこまれた脚本などなど、緻密に計算し尽くされていて面白かったのです。目の離せない展開。しかし、彼らの出した結論に「ブラボー!」と拍手するのは危ういのだなぁと思ったのです。議論の方向によっては、全く逆の展開を辿り得るのが陪審員制度。そして、”疑わしきは”という観点のみから導かれた結論は、果たしてそれで是とするべきものなのか。その辺りの難しさも承知した上で作られ、議論を呼ぶからこその名作とは承知しつつも。微妙な突っ込みポイントは、ナイフのシーンと、記憶の曖昧さを問いただすシーン。