「レザボアドッグス」★★★★★(5段階評価です)

レザボアドッグス

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 1993年アメリカ映画。クエンティン・タランティーノ監督。
 計画は完璧のはずだった。プロの強盗6人が組み、ダイヤモンド問屋を襲って逃亡するまでわずか2分。しかし、現場では警察官が待ち受けていた。この中に裏切り者がいる。一体誰が? 集合場所に指定された倉庫に、ある者は瀕死で、ある者は警官の人質を手土産に集まってくる男たち。息詰まる本当の対決が幕を開けた……。

 以前に一度観て(id:syoron:20030520)、再度観たいと思ったので二度目の鑑賞。今回もゾクゾクする程面白い! ちょっとドキュメンタリーのような、切り替えの少ないカメラワーク、登場人物の過剰なおしゃべり、そして組替えられて提示される時間軸。この組み合わせが絶妙です。
 淡々とした演出なのだけど、登場人物それぞれの人間性だとかお互い同士の関係が濃厚に匂いたってくる。例えば、愛情豊かで男気あふるるといった感じの「ホワイト」(6人の男は、仕事に万全を期すためお互いに本名を名乗らず色の名前で呼び合っているのです)は、瀕死の仲間を残して倉庫を出て行くとき、彼だけは必ず一瞬、振り向いて確認する。それが、ものすごくさりげなく画面の端に捕らえられていてちっとも強調されないのだけど、逆に観る側には強い印象を残す。また、カメラワークとは対照的に過剰なおしゃべりは、時に激しく絡み合って段々と緊迫感を増していく。この「静」と「動」の対比がこの映画の持つ格好良さの秘訣だと言う気がします。
 そして、冒頭のシーンで示されるように決して賢明ではない男たちが、それぞれ自分なりの論理を貫いて牙をむく様子がまた良いのです。例えその結果が無残であっても美しい。最後まで食い入るように画面に見入り、流れ出すエンドロールに溜息をつく、という典型的な幸せ映画鑑賞体験だったのでした。