「シカゴ」★★★★(5段階評価です)

 1920年代のシカゴは欲望渦巻く都市。殺人事件だって市民の娯楽として消費されてしまう。ミュージカルスターを夢観るロキシーレニー・ゼルウィガー)は、愛人を撃ち殺して刑務所に送られる。そこには憧れだったスター、ヴェルマ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)も投獄されていたが、彼女は悪徳弁護士ビリー(リチャード・ギア)を通じマスコミを自在に操っていた。ロキシーは自分もビリーを雇い、事件を利用してスターダムを駆け上がろうとする……。

 水曜日は映画館レディースデーの日、急いでお台場メディアージュhttp://www.cinema-mediage.com/)へ。
 All that JAZZ〜♪ と歌う、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの低く甘い歌声が耳を離れません。二時間があっという間に過ぎてしまう華やかで楽しい作品でした。流れ出すエンドロールに「え、もう終わり?」と一瞬面食らうほど。
 ミュージカルは生で観るもの、との思いがあったのですが、美男美女の見事なダンスを色々なアングルからアップで観られたのは楽しかった。役者さんも力を発揮していたし。レニー・ゼルウィガー演ずる、始めはいかにも騙されやすい「チーズケーキ(セクシーだけど頭はちょっと弱い女)」が、名が売れるに従って策略を働かせ大胆になっていく過程も面白い。混沌としたシカゴの街も、陰惨にならずエンターテイメントの範囲できらびやかに描かれていて匙加減が良いと思った。全体を通して、シンプルなストーリーはじめ、映画にまつわる全てを「これは娯楽なのだ!」と押し切っている印象。役者の人選も、陰りや生々しさを感じさせる人ではなく、例えば主演に美しすぎずセクシーすぎずのレニーを持ってくるところが絶妙です。
 そして、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ! 歌もダンスも見事。姉御肌で頭の切れるヴェルマ役を魅力たっぷりに演じてました。監獄でのダンスシーンで、「シセロ」と言う時の発音や唇の動き、はすっぱなタバコの持ち方も素敵だった。自分も周囲も客観視して、頭脳を駆使して不遇の時はやり過ごし、チャンスを見つけたら逃がさない。ロキシーが状況に踊らされがちなのに比べると、知的で強いヴェルマは現代的で素敵な女だなぁと魅力を感じたのです。
 お台場メディアージュの、素晴らしいシートと音響(そして平日のお客の少なさ……)で満喫しました。映画館で観られて良かったのです。