「インファナル・アフェア」★★★(5段階評価です)

 内通者として警察に、マフィアに、それぞれ潜入する二人の男。大掛かりな麻薬取引と、それに伴う捜査で互いの内通者の存在が明らかになった時、彼らは危機に陥った……。

 この夏の「HERO」で深く心に刻み込まれたトニー・レオンの名前。ブラピがリメイク権獲得という話題性。何よりストーリーが大変に面白そう! ということで、いそいそと劇場へ。世界一悩み顔の似合う男・トニーに目が釘付けになりつつ鑑賞しました。
 香港映画にまるで詳しくないしょろんですが、ちょっと気恥ずかしいくらい大仰な演出や音楽は、独特のノリなのかしら? お話自体も、冷静に見ればかなりベタだと思う。例えば、主人公ふたりの恋人の職業が、それぞれ作家と精神科医なんてところ。何だかとても収まりが良い。ついでに言えば、それぞれの恋人との関わり、特に昔の恋人の絡みなどはもう少し丁寧に描いて欲しかったなぁと思う。お話の軸は他の部分にあるとは思えど、女の人の存在感が妙に薄いのです。これも香港映画ならではのノリなのかしら? そして、そもそものラストが納得いかず。タイトルとの絡みでネタバレしてしまいそうだけれど、あれでいいのか? 本当に良いのか? ……(沈黙)……。
 ただ、警察とマフィア、双方が内通者を送り込むというそもそもの設定や、同時進行で互いの手をつきとめようとするくだりとかは緊迫感みなぎりまくりで面白かった。そして、しょろんの心臓はトニーの蘇生措置を受け息を吹き返しました。静止画では決して美形というわけではない顔立ちが、何がしかの表情を浮かべた途端輝きだすのは演技の不思議。同じく香港の大スター・故レスリーにも通じるような魅力なのです。これは両者の共演作「ブエノスアイレス」も必見だわと、拳を握りしめたのでした。