「おしゃれ泥棒」★★★(5段階評価です)

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 1966年アメリカ映画。「ローマの休日」の監督が再びオードリー・ヘプバーンと組んだラブ・コメディ。
 美術品の贋作づくりの名人を父に持つニコル(オードリー・ヘプバーン)。父は得意満面で、見る目のない美術品愛好家に作品を売りつけたり、あまつさえ美術館に貸し出したりしてしまうので気が気ではない。真相が明るみに出ないよう、ニコルは館に忍び込んだシモン(ピーター・オトゥール)も見逃した。ところがある日、美術館に貸し出した彫刻が鑑定を受けることに。ニコルはシモンに頼んで、共に彫像を盗み出そうとする……。

  オードリーの役柄は、やや突拍子のない行動をとる女の子。「長く(返事を)待たせると悪いから」という理由で婚約したり、父親の危機を救うために泥棒を思いついたり、多分当時はどこか「新しい感覚を持った女」ということだったんだろうと思う。「飛んでる女」の先駆けか? オードリーがそんな役をやると、天真爛漫なのに品が良い、とびきり魅力的な女の子ができあがってしまうのに感心しました。オトゥールが有能ぶりをいかんなく発揮して、全面サポートしたくなるのも思わず納得なのです。
 映画はとにかく「シックで小粋」という謳い文句がよくあてはまる感じ。オードリーの次々に変わるジバンシィの衣装やパリの風景が目を楽しませてくれるし、ストーリーも、見る目のない美術愛好家たちを茶化しつつ、ドタバタの泥棒シーンをクライマックスに綺麗にまとまっている。
 ラブロマンスについては、お互いほぼひと目惚れで紆余曲折はなしに近いので、胸をかき乱されるようなこともなく。オードリーの可愛さやオトゥールのハンサムぶりを味わいつつ、気軽に楽しめる佳作という印象でした。