「ムツゴロウの動物交際術」 畑正憲

アマゾンヘノリンク:ISBN:416710833X

 先日の「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」TV特番以来、ムツゴロウさん熱が再燃し、手をつけていなかった90年代後半の本をごっそり調達。自分ではそれほど動物好きでもない(散歩中の犬ネコをなぶる程度)と思うのだけど、ムツゴロウさんの本はなぜか読んでしまうのです。
 「犬に上から手を近づけると嫌がるのはなぜか」などの疑問に、自身の経験と知識から導き出される結論が面白い。曰く、「人の手の形は、動物が興奮して攻撃状態にある時の手と似ているからではないか」。熊やネコなどの動物は、興奮すると普段は埋もれている長い爪が人の指のようにせり出してくる。なので動物にはその形を恐れる本能があるのではないかという仮説が、犬の心電図の実験データと共に示されたりする。なるほどーへぇーふぅーん! と驚きながら読み進んでしまうのでした。どの仮説も、単に文献からの引用で終わらず自身の体験や実験の裏付けがあるので、説得力と同時に「豆知識集」に終わらないドラマがあって素敵なのです。動物や学ぶことに対する、愛情深く真摯な姿勢も伝わってきて、読み終えると大変ポジティブな気分になれました。