人生初エステ
今年はじめ、某有名エステサロンの新年企画『フェイシャルエステコース、通常価格22000円を3000円で!』 なるキャンペーンに申し込みました。貧乏OLのしょろんには「エステ」なんて無縁でしたが、この値段設定は買い!と判断。たとえ勧誘が激しかろうと逃げ切るわ。届いたのは半年有効のチケット。一緒に申し込んだ友人とチケットを見つつ、
友人 「いつ行こうかな?」
しょろん 「うーん。特別な日のためにとっておくよ」
それから数ヶ月、ようやく自分の身に『特別な日』なるドキドキワクワク胸キュン☆の事態は起こらないっぽいことを理解したので行ってきました。
場所は銀座のど真ん中。カウンターに座るなり香ばしい匂いのお茶がサッと出されます。カルテに肌の悩みを記入した後、ロッカールームでバスタオル地のムームーのようなものに着替え。
しかしこのムームー、ゴムで胸の辺りに固定するだけ。胸のふくよかな方は良いのですが、しょろんのような『豊満なウエストにくびれた胸』の持ち主にはちと哀しい衣装。エステでこのムームーの似合うボディーを手に入れましょうね、という密かなメッセージがこめられているのでしょうか(実際はゴムが伸びていただけなのだろう……と、思いたい……)。しきりとムームーをずり上げつつ、別の部屋に案内され歯医者さんで見かけるようなシートに横になります
しょろんが選んだのは、美白と保湿に重点を置いたフェイスエステ。担当のお姉さんが、まずたっぷりのクレンジングジェルで顔全体をマッサージしてくれます。
き、気持ち良い……。部屋には静かな音楽が流れ、横になったシートが振動したと思ったら動き始めます。マッサージチェアを兼ねているのでした。のみならず、もう一人お姉さんがやってきて腕をマッサージしてくれます。あぁ。至福のお姫様気分。
以後、残念ながらほとんど記憶なし。60分のコースは幸せにまどろむうち過ぎ去りました。顔を吸引機で吸われたり、ペタペタ何かを塗られたような記憶もあるものの全てはおぼろげな断片にすぎません。再び目を開けると、羽毛のように軽くなった自分の体を発見しました。鏡を見れば顔はピカピカ、触れればふるふる。
こっ……これはいいかも……。ぐらり、と心が揺れたものの、壁に貼られた各コースの料金表を見て現実に引き戻されました。と、とても無理です。ひとときの夢をありがとう。 ピカピカのしょろんの顔は、一方で強張っていたのかもしれません。あるいは見るからにお金がなさそうに見えたのかもしれません。噂に高い「強引な勧誘」どころか「継続なさいますか?」と言われることもなく、にこやかに「ありがとうございましたー」と、夜の銀座に送り出されたのでした。
ああでもとても良かったのです。2万円とはいわないまでも、1回七千円くらいまでならどうにか。……やはり、エステの上客は無理そうですが。